入試での出題状況

「やさしい~シリーズ」「100+100シリーズ」が入試問題のどのくらいのカバーしているかは、もちろん大学によってさまざまですが、共通テスト、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学を例に取ってみます。
辛めに判断します。「発想力があれば取れる。」という都合のいい解釈はせず、ベタな問題がわかっている人が、確実に取れる点数のみカウントすることにします。
(注:WARDでは累乗を表現出来ないため、一般的に^という記号を使います。例えば、^2なら、「2乗」という意味だと思ってください。)

2022年・共通テストに、青は「やさしい~シリーズ」のみ、赤は「やさしい~シリーズ」「100+100シリーズ」両方で勉強して臨んだ場合の点数。

数ⅠA

第1問 (30点/30)

[1] (1)ア、イは、『数ⅠA編』の1-4のpoint7の黒丸4の公式ですし、ウ、エは展開して、今までの結果を代入するだけです。

(2)オ、カも計算するだけ。キ、クも指示通りに(1)の最後の式に代入するだけ。x+y、x^2+y^2の値からxyが求まるので、ケもわかります。

[2] 直角三角形を使った三角比(『数ⅠA編』の4-1がわかっていたら解けます。例えば、地図上でのCA、BCの長さをそれぞれx、yとすると、tan16°=y/xです。tan16°の値は表に書いてあります。0.2867=y/xです。
この地図の縮尺は、水平方向が1/100000、鉛直方向が1/25000なので、実際の水平方向、鉛直方向の長さはそれぞれ100000x、25000yです。
tanΘ=25000y/100000x
    =y/4x
    =0.073 でコ~スBCがわかり、再び表を見ると、4°と5°の間とわかり、セが求まります。

[3] (1)ソ、タは正弦定理(『数ⅠA編』の4-9)。チ~テは直角三角形を使った三角比(『数ⅠA編』の4-1で解けます。

(2)AB=xとすると、AC=-2x+14です。AB、ACとも辺の長さなので正ですし、円の中にあるから直径より長くなるわけがないので、6以下です。ト、ナが求まります。(1)と同じ手順でニ~ハがわかり、2次関数の最大、最小(『数ⅠA編』の3-6)で、ヒの答がわかります。

第2問 (25点/30)(30点/30)

[1] (1)は楽勝です。

(2)は、n=3つまり「①、②に異なる実数解が3個」と聞くと、「①、②の一方が重解をもち、他方が異なる2つの実数解をもつ」と思いそうですが、それ以外に、「①、②ともに異なる2つの実数解をもち、ダブった解(共通解)が1つある」もあります。
『おさえておきたい100+100 数ⅠAⅡB編』のうかる09で勉強した人は大丈夫だったでしょう。
(ⅰ)共通解をもつとき
q=-6またはα=1とわかります。
q=-6のときは、①、②が同じ式になり、異なる実数解が2つになり、不適です。
α=1のときは、q=5になり、①、②を計算すれば異なる3つの実数解をもつとわかります。ウが求まりました。
(ⅱ)①が重解をもつとき
判別式(『数ⅠA編』の1-20)より、q=9になります。①はx=3という重解をもつ。②は異なる2つの実数解をもち、ともにx=3でないものとわかります。エが求まりました。
(ⅲ)②が重解をもつとき
判別式(『数ⅠA編』の1-20)を計算すると、あり得ないとわかります。
(ⅰ)は、太郎と花子の会話の中で説明しているので、初めて見て人もそれで解けたかもしれませんが、ここは厳しく、『やさしい高校数学』のみでやった人はウがわからなかったと判断します。

(3)『数ⅠA編』の3-2の知識で解けます。
③のグラフの頂点は(3,q-9)です。qを1から大きくすると、x座標は変わらず、y座標が大きくなるので、上に移動します。
④のグラフの頂点は(-q/2,-q^2/4-6)です。qを1から大きくすると、x座標、y座標ともに小さくなり左下に移動します。カの答がわかります。

(4)5<q<9です。
③、④の頂点のx座標を比べると、④のほうが左にあるとわかります。
③、④の頂点のy座標は、ともに負です。また、両者の交点は(1,q-5)でy座標は正です。
これらで図を書き、(y軸は不要。)y<0つまりx軸より下になっている部分に注目すると、左がB、右がAですが、重なっている部分が無いことがわかります。
ここからは、十分条件、必要条件(『数ⅠA編』の2-8)の知識です。「xがAの要素ならば、xがBの要素である。」も「xがBの要素ならば、xがAの要素である。」も成り立ちません。つまり偽です。キの答がわかります。
「xがBの要素ならば、xがAの要素でない。」は成り立ちます。「xがAの要素でないならば、xがBの要素である。」は成り立ちません。つまり偽です。クの答がわかります。

ここまでは、「問題数が多いな・・・」と思いながらも、普通に解けた人も多かったでしょう。予想以上に時間を使ったことで焦りを感じている状態で、恐ろしく時間がかかる問題に突入します。

[2] (1)ケは『数ⅠA編』の5-1で登場した内容です。
中央値は15番目の数です。ヒストグラムを見ると、2009年度は「30以上45未満」に属していて、階級値は37.5です。2018年度も同様です。
コ、サは『数ⅠA編』の5-2で扱いました。
第1四分位数は7番目と8番目の数の平均です。2009年度は7番目、8番目ともに「15以上30未満」に属していて、階級値は22.5です。2018年度も同様です。
第3四分位数は22番目と23番目の数の平均です。2009年度は22番目、23番目ともに「60以上75未満」に属していて、階級値は67.5です。2018年度は22番目、23番目ともに「45以上60未満」に属していて、階級値は52.5です。
シは、範囲が2018年度のほうが小さいことはすぐにわかります。
四分位数範囲は第1四分位数と第3四分位数の差という意味です。
2009年度は第1四分位数は「15以上30未満」、第3四分位数は「60以上75未満」なので、四分位数範囲は「30以上90未満」です。
2018年度は第1四分位数は「15以上30未満」、第3四分位数は「45以上60未満」なので、四分位数範囲は「15以上75未満」です。
どちらが大きいかは判断できません。これがスの答です。

(2)箱ひげ図とヒストグラム(『数ⅠA編』の5-3)の問題。

(3)問題文の冒頭からの9行は全く不要です。「SとTの共分散」を「Sの標準偏差」と「Tの標準偏差」で割ると0.63で、これがソ~チの答です。(『数ⅠA編』の5-6の387ページ)

(4)散布図(『数ⅠA編』の5-6)の問題です。相関係数が正ならば右上がりですが、完全な直線は1、右上がりなのかはっきりしないものは(0.2とかいった)0に近い値になります。今回は0.63なので、まず、①、③に絞られます。
さらに点の散らばり具合に注目すると、①のS、Tの平均値はともに100くらい、③のS、Tの平均値はともに70か80くらいということで、(3)の表から③とわかります。

第3問 (20点/20)

[1] (1)(ⅰ)例えば、A、Bの2人いて、持ってきたプレゼントがそれぞれa、bとします。向かって左からA、Bの順で並んでいて、a、bを並べると考えればいいです。
全体では2!=2通り。(『数ⅠA編』の6-4)そのうちプレゼントが本人に行かないのはb-aの1通りで、これがア。確率は1/2でこれがイ、ウです。
(ⅱ)これも、A、B、Cの3人いて、持ってきたプレゼントがそれぞれa、b、cとして、向かって左からA、B、Cの順で並んでいると考えればいいです。
全体では3!=6通り。そのうちプレゼントが本人に行かないのはb-c-a、c-a-bの2通りで、これがエ。確率は2/6=1/3でこれがオ、カです。
(ⅲ)(ⅱ)から、1回の試行で交換会が終了する確率は1/3。終了しない確率は2/3とわかったので、これを使えばいいです。
1回目で終了する確率は、1/3、
2回目で終了する確率は、(2/3)・(1/3)、
3回目で終了する確率は、(2/3)^2・(1/3)、
4回目で終了する確率は、(2/3)^3・(1/3)なので、これらを足してもいいです。
しかし、余事象(『数ⅠA編』の6-2)を使えばもっと楽です。「1~4回目すべてで終了しない確率」は(2/3)^4で、全体の1からこれを引けば、キ~コが求まります。

(2)これも、A、B、C、Dの4人いて、持ってきたプレゼントがそれぞれa、b、c、dとして、向かって左からA、B、C、Dの順で並んでいると考えればいいです。
全体では4!=24通り。そのうち4人ともプレゼントが本人に行かないのは、中学校で習った樹形図を使って数えれば9通りとわかって、これがソ、タが9/24=3/8と求まります。
しかし、問題文は余事象を使って求めるように指示しています。「えっ?そっちのほうが面倒じゃないの?」と思うかもしれませんが、ここは問題文に従って解いていきます。1回目で交換会が終了しないのは、

(Ⅰ)ちょうど1人が自分のプレゼントを受け取るとき
「一つの例を挙げて、それと同じものが何通りあるか」(『数ⅠA編』の6-16の考え方で解いていきます。
例えば、Aが自分のものを受け取ったとき、B、C、Dは自分のプレゼントでないものを受け取ります。これは(1)の(ⅱ)で2通りと求めているので、これを使うと頭がいいです。
Bが自分のものを受け取ったときも2通り、
Cが自分のものを受け取ったときも2通り、
Dが自分のものを受け取ったときも2通りという感じで、同じものが4パターンあるので、2×4=8通りです。これがサです。

(Ⅱ)ちょうど2人が自分のプレゼントを受け取るとき
例えば、A、Bが自分のものを受け取ったとき、C、Dは自分のプレゼントでないものを受け取ります。これは(1)の(ⅰ)で1通りと求めています。
B、Cが自分のものを受け取ったときも1通り、
A、Dが自分のものを受け取ったときも1通り、
・・・・・・・・・・・・・・・
という感じで、同じものが=6パターンあるので、1×6=6通りです。これがシです。

(Ⅲ)4人とも自分のプレゼントを受け取るとき
1通りです。

よって、1回目で交換会が終了しないのは、8+6+1=15通りで、これがス、セです。
交換会が終了する(4人ともプレゼントが本人に行かない)のは、24-15=9通りになり、交換会が終了する確率は、9/24=3/8で、これがソ、タです。

(3)これも、A、B、C、D、Eの5人いて、持ってきたプレゼントがそれぞれa、b、c、d、eとして、向かって左からA、B、C、D、Eの順で並んでいると考えればいいです。
全体では5!=120通り。そのうちプレゼントが本人に行かないのを樹形図を使って数えようとしたら、結構数が多くて大変なことに気が付きます。そこで(2)でやったように余事象で考えたほうがいいのでは?となります。(2)は(3)を解くためのヒントだったわけです。

(Ⅰ)ちょうど1人が自分のプレゼントを受け取るとき
例えば、Aが自分のものを受け取ったとき、B、C、D、Eは自分のプレゼントでないものを受け取ります。これは(2)の最後で、9通りと求めています。
Bが自分のものを受け取ったときも9通り、
Cが自分のものを受け取ったときも9通り、
Dが自分のものを受け取ったときも9通り、
Eが自分のものを受け取ったときも9通りという感じで、同じものが5パターンあるので、9×5=45通りです。

(Ⅱ)ちょうど2人が自分のプレゼントを受け取るとき
例えば、A、Bが自分のものを受け取ったとき、C、D、Eは自分のプレゼントでないものを受け取ります。これは(1)の(ⅱ)で2通りと求めています。
B、Cが自分のものを受け取ったときも2通り、
A、Dが自分のものを受け取ったときも2通り、
・・・・・・・・・・・・・・・
という感じで、同じものが=10パターンあるので、2×10=20通りです。

(Ⅲ)ちょうど3人が自分のプレゼントを受け取るとき
例えば、A、B、Cが自分のものを受け取ったとき、D、Eは自分のプレゼントでないものを受け取ります。これは(1)の(ⅰ)で1通りと求めています。
B、C、Dが自分のものを受け取ったときも1通り、
A、D、Eが自分のものを受け取ったときも1通り、
・・・・・・・・・・・・・・・
という感じで、同じものが=10パターンあるので、1×10=10通りです。

(Ⅳ)5人とも自分のプレゼントを受け取るとき
1通りです。

よって、1回目で交換会が終了しないのは、45+20+10+1=76通りで、交換会が終了する(5人ともプレゼントが本人に行かない)のは、120-76=44通りになり、交換会が終了する確率は、44/120=11/30で、これがチ~トです。

(4)条件付き確率(『数ⅠA編』の6-29)です。「A、B、C、Dそれぞれ自分以外の人の持参したプレゼントを受け取る」をL、「交換会が終了する」をMとすると、求めるものは、P(L⋀M)/P(L)、つまり、
(A、B、C、Dそれぞれ自分以外の人の持参したプレゼントを受け取り、かつ、交換会が終了する確率)/(A、B、C、Dそれぞれ自分以外の人の持参したプレゼントを受け取る確率)  です。
分子は、11/30です。
分母は、「5人とも自分以外の人の持参したプレゼントを受け取.る確率11/30」の他に、「A、B、C、Dは自分以外の人の持参したプレゼントを受け取るが、Eは本人の持参したプレゼントを受け取る確率」もあり、これは(3)の(Ⅰ)の最後でやったように9通りあるので、確率は9/120です。分母は、11/30+9/120です。
これで、ナ~ネが求まります

第4問 (7点/20)(20点/20)

(1):ax+by=c(x、yは整数)の式で、係数が大きいので、『おさえておきたい100+100 数ⅠAⅡB編』のうかる34で解くのが原則ですが、この問題に関しては、運のいいことに『数ⅠA編』の7-8でも解けます。x=1を代入したら、y=39が出て、これが解の一つということで、続きも求められます。

(2)625=5^4ということで、『数ⅠA編』の1-3のpoint6の黒丸3で、ケが求まります。このとき、『おさえておきたい100+100 数ⅠAⅡB編』のうかる34の方法で解いた人は、(1)の冒頭で、625=16・39+1という式を作っているわけで、問題文のm=39とおけという指示に従えば、625=16m+1でこれを2乗すれば、コが求められます。『やさしい高校数学』のみの人は解けなかった可能性が高いです。
(もちろん、(1)の冒頭で、「625を16で割ると、余りが1」と言っているので、実際に割って、割られる式=割る式×商+余りの式を作って、625=16・39+1を得たという人もいると思いますが、そんな都合のいい解釈をするのは変なので、ここは厳しくいきます。)

(3)は、問題文を読んでも何を言っているのかわからなかった人が多いと思います。(ここは解説を目的にしたコラムではないので、説明は省略します。)意味がわからなければ、「答さえ出せればいいんだろう。」と開き直って、『おさえておきたい100+100 数ⅠAⅡB編』のうかる34の方法で普通に解いても構いません。意外とすぐに求まります。

(4)(3)と同様で、普通に解けます。ただし、計算はかなり面倒くさいです。

第5問 (20点/20)

(1)『数ⅠA編』の8-4で紹介されている重心の意味がわかっていたら、AG:GE=2:1が出るわけで、ア、イは楽勝です。
図を書いて、左の三角形、右の三角形を使ってメネラウスの定理(いずれも『数ⅠA編』の8-7)の式を作ると、ウ~クが求まります。
その後、両方の式を足しますが、BFはEF+BEと同じで
CFはEF-ECと同じで、さらにBE=ECなので、ケが求まります。

(2)方べきの定理(『数ⅠA編』の8-9)でAQがAPの3/2とわかり、コ、サの答えになります。その後、AP=x、AQ=3x/2、CF=yとおいて、(1)で求めたウ~クの式に代入ると、計算は面倒ですが、シ~ナが出ます。

(3)(1)で作ったメネラウスの定理の2つの式を同じ手順で解いていけば、自動的にAD:DEが出ます。AG:GE=2:1もわかっているので、『数ⅠA編』の8-2の549ページの方法で、ニ、ヌがわかります。

数ⅠAの問題は100点満点ですが
「やさしい~シリーズ」のみで勉強した人は、第4問を選択した場合は82点、選択しなかった場合は95点になります。
「やさしい~シリーズ」
「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」両方で勉強した人は100点ということになります。

ただし、これは時間が無制限に使えた場合の話です。実際に取れる得点はもっと低くなります。感想としては、以下のようになります。
1.時間が短いのに、問題の量が膨大。
2.問題は意外に難しくないが、解くのが面倒。
3.小学生のときに練習した筆算の能力がかなり大事。
4.長々とした問題文を読まされ、解くのに関係ないものも含まれている。

共通テストは、かなり特殊な試験です。模試を多く受け、短い時間で解く技術を身に付けましょう。


2021年・京都大学(理系)に、青は「やさしい~シリーズ」のみ、赤は「やさしい~シリーズ」「100+100シリーズ」両方で勉強して臨んだ場合の点数。

問1(20点/20) 

『数ⅡB編』の6-9例題9-32(3)でも扱っているド定番の問題なので、Mを求めるのに苦労しなかったと思います。Qは線分PMを2:1の比に外分する点(『数ⅡB編』の3-2)ということで、求められます。

1の問2(4点/20)(10点/20)

まず、『数ⅠA編』の6-27の考え方だとわかります。最後の1回をやる前にリーチがかかっているということです。
①n-1回目までは赤玉が出ない状態で、白玉が少なくとも1回出る、かつ、青玉が少なくとも1回出る、かつ、黄玉が少なくとも1回出る。
②n回目に赤を出す。
ということで、方針点4点が入ります。
まず①ですが、少なくとも1回出るの”かつ”の問題は、「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」うかる28で扱っています。本のほうは2つの”かつ”なので「一度も出ない」の円2つをベン図に書くと、全ての円の外側の部分がそれにあたります。
今回の問題は3つの”かつ”なので、赤玉が出ないを全体として、「白玉が一度も出ない」、「青玉が一度も出ない」、「黄玉が一度も出ない」の3つを円を書いて、全ての円の外側の部分を求めればいいわけです。「白玉が一度も出ない、または、青玉が一度も出ない、または、黄玉が一度も出ない」は『数ⅠA編』の2-5のやり方で求められます。
その後は、全体に当たる「n-1回目まで赤玉が出ない確率」、つまり、(3/4)^nから引けば求められます。ただ、全体の確率を1と間違える人もいると思うので、ここは得点としません。
これに②の確率を掛ければ終わりです。

(30点/30) 

Pの座標をtとかを使って表して、接線の方程式が求まり(『数ⅡB編』の6-9)、x軸との交点Qも容易にわかります。2点P、Qの距離L(『数ⅡB編』の3-1)は√の値になるので、L^2の最小値を求めてから、最後に√を付ければいいです。これも余裕でしょう。
L^2の値は、t^6、t^4、t^(-2)などが出て、一瞬焦りますが、全部偶数乗なのでt^2をaとかに置き換えれば(『数ⅠA編』の3-9)、a^3、a^2、a^(-1)になり、計算も楽になります。増減表(『数Ⅲ編』の6-10)が普通に書ける人は、特に問題なく完答できます。

(10点/30) 

「上に∞が付いているΣ」は、「後がa・r^n-1になっていたら、初項a、公比rの無限等比級数で、それ以外のときは書き並べる。」というのが原則で、今回は後者に当たります。
『数Ⅲ編』の4-13例題4-17(1)でほとんど似たことをやったので、問題を見てガッツポーズを取っている絵が想像できます。
本のほうは、初めの2つをひとまとめ、次の2つをひとまとめ、さらに次の2つをひとまとめ・・・と考えることができて、さらに、0を除くと、無限等比級数になります。
それに対し、問題のほうは、
=1・1+(1/2)・(”ルート3”/2)+(1/2)^2・(1/2)+(1/2)^3・0+(1/2)^4・(-1/2)+(1/2)^5・(-”ルート3”/2)
    +(1/2)^6・(-1)+(1/2)^7・(-”ルート3”/2)+(1/2)^8・(-1/2)+(1/2)^9・0+(1/2)^10・(1/2)+(1/2)^11・(”ルート3”/2)+・・・
  =
+(”ルート3”/4)+(1/8)+0+(-1/32)+(-”ルート3”/64)+(-1/64)+(-”ルート3”/256)+(-1/512)+0+(1/2048)+(”ルート3”/4096)+・・・
項が、その6つ前の項を比べると、(1/2)^6倍されていて、さらに角度がπ増えるためにcosの値が-1倍になり、結果-1/64倍になるため、
1、7、13・・・番目、2、8、14・・・番目、3、9、15・・・番目、・・・というふうにまとめると、
1+(-1/64)+・・・}+{(”ルート3”/4)+(-”ルート3”/256)+・・・}+{(1/8)+(-1/512)+・・・}+{(-1/32)+(1/2048)+・・・}+{(-”ルート3”/64)+(”ルート3”/4096)+・・・

となり、各々が公比-1/64の無限等比級数になります。
これに気が付けば満点ですが、全員がそうできるとは思えませんし、ここは書き並べる所までできて、部分点のみもらえると考えるのが妥当でしょう。

(30点/30) 

曲線の長さは、大変有名な問題で、『数Ⅲ編』の8-13でも学んでいます。
計算すると、√の中に1+cosxが入ってるものの積分になりますが、この時のやり方は、『数Ⅲ編』の8-12の最後で扱ってます。さらに、sinxの逆数の積分になってしまうのですが、この時の計算のやり方も『数Ⅲ編』の7-11例題7-20で勉強しています。

の(1)(10点/10) 

まず、∠BAC=π/3を常に満たすということは、Aが円を描くとわかります。(『やさしい中学数学』中3の6-1旧課程では7-1
『数ⅠA編』の0-10でも言っていますが、図を大きく書いて、長さや角度などわかるものをマメに書いていけば、∠BOC=2π/3が出てきます。円周角(『やさしい中学数学』中3の6-1旧課程では7-1)を使えば、Oが外心になるとわかります。Aの場所を変えてみてもそれは変わりません。

5の(2)(15点/30)(30点/30)

垂心の意味は『数ⅠA編』の8-4の563ページで説明しています。
垂心をH(X,Y)とかして、軌跡(『数ⅡB編』の3-23)で求めます。
A(p,q)とかして、円x^2+y^2=4(y>0)上にあるので、代入して、p^2+q^2=4・・・①、q>0・・・②となります。(『数ⅡB編』のお役立ち話
Hは、Aを通り直線BCに垂直な直線x=p上にあるので、X=p・・・③
Hは、Bを通り直線ACに垂直な直線上にもあります。方程式を求めてもいいですが、面倒ならばベクトルを使ってもいいです。”BHベクトル”と”CAベクトル”が垂直ということで、内積0を計算すると、もう一つの式④が出ます。
後は、媒介変数p、qを消去すれば求まります。③を①、④に代入すれば余裕でpは消せて、それぞれ新しく➄、⑥の式が出来ます。後は⑥の式をq=に変形して、②、➄代入すれば終わるのてすが、とにかく計算が面倒くさいのです。不等式の表す領域(『数ⅡB編』の3-25)、複数の文字のある式の因数分解(『数ⅠA編』の1-7)、など、ありきたりの知識しか使いませんが、場合分けもあったりします。『やさしいシリーズ』のみでしかやっていない人は戸惑うと思います。「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」をやった人はうかる60、61で経験をしているので大丈夫でしょう。

問1(4点/20) 

ほとんどの人が、対偶(『数ⅠA編』の2-9で証明するとわかったはずです。「nが素数でないならば、3^n-2^nは素数にならない。」を証明すると方針で4点。
素数でないなら、掛け算の形に出来る(因数分解できる)ので、n=pq(p、qは2以上の自然数)と表せて、3^n-2^n=3^pq-2^pq=(3^p)^q-(2^p)^q。この後は(3^p)、(2^p)をひと固まりと考えて、基礎トレ39の72ページの9行目の公式で因数分解すれば、両方の因数が2以上の自然数になるとわかり、終了です。しかし、これを思いつくのは難しいと思います。

6の問2(0点/20)

これは、本の知識だけで解くのは無理かと思います。

京都大学(理系)の問題は200点満点ですが
「やさしい~シリーズ」のみで勉強した人は123点、
「やさしい~シリーズ」
「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」両方で勉強した人は144点ということになります。

「おさえておきたい数Ⅲ50+50」
の発売は、京都大学の入試後になって残念でしたが、今後はもっと正解率が上がると思われます。


2021年・慶應義塾大学(薬)に、青は「やさしい~シリーズ」のみ、赤は「やさしい~シリーズ」「100+100シリーズ」両方で勉強して臨んだ場合の点数。(問題の配点については非公表のため推測。)

[Ⅰ](1)(2点/2)

(1+i)^2を計算したら2iになります。それを5乗すればいいです。(『数ⅡB編』の2-1

[Ⅰ]2)(5点/5)

2つの解をα、α+1として、解と係数の関係(『数ⅡB編』の2-7)を使えばよい。平均変化率も『数ⅡB編』の6-3で学びました。

[Ⅰ]3)(8点/8)

(ⅰ)ほぼ同じ問題を『数ⅡB編』の3-22でやっています。

(ⅱ)y=”ルート3”|x+9|は、y=|”ルート3”(x+9)|と同じです。『数ⅠA編』の3-21で紹介した通り、y=”ルート3”(x+9)のグラフを書いて、y<0の部分をx軸に関して折り返せばいい。(もちろん、絶対値を場合分けで外しても解けます。)
扇形の面積は、小学校で習った方法でもいいし、『数ⅡB編』のお役立ち話8でも求められます。

[Ⅰ]4)(7点/7)

左辺は展開して、『数ⅡB編』の4-18の変形でsinΘ+cosΘの値が出ます。『数ⅠA編』の4-8の方法で、sinΘ、cosΘが求められます。2組出ますが、-π/2≦Θ≦π/2だから、cosΘが正になるほうのみ正解です。

[Ⅰ](5)(2点/10)(10点/10)

(ⅰ)これは、『数ⅠA編』の7-9で勉強した人は大丈夫でしょう。問題文で述べている通り、最小の位から、つまり、右から考えて、0、1、2、0、1、2と続いています。
10進法に直すと、それぞれ、0・3^0、1・3^1、2・3^2、0・3^3、1・3^4、2・3^5で、その和が答えです。

(ⅱ)これも、右から見ると、0、1、2、0、1、2、・・・、0、1、2ということで、3つずつ区切れば、群数列(『数ⅡB編』の2-1)になっていると気づく人もいるかもしれません。
でも、『やさしい~シリーズ』のみで勉強した人は、そこから先を計算するのは厳しいと思います。
10進法に直すと、0・3^0、1・3^1、2・3^2、0・3^3、1・3^4、2・3^5、・・・、0・3^(3n-3)、1・3^(3n-2)、2・3^(3n-1)でその和を求める分けですが、これは「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」うかる82でやっています。
順に、b、b、b、b、b、b、・・・、b3n-2、b3n-1、b3nとすると、3つのローテーションなので、まず、b3k-2+b3k-1+b3kを求め、それに”Σのk=1からk=n”を付ければ求まります。
Σの後の式をa・r^(k-1)の形にすれば、『数ⅡB編』の8-12も使えます。

[Ⅰ]6)(12点/12)

(ⅰ)『数ⅠA編』の1-7で登場しました。

(ⅱ)(2x+y+1)(3x+5y+1)=2・3・7・23となり、『数ⅠA編』の7-3のやり方になります。普通に挙げると、
(2x+y+1,3x+5y+1)=(1,2・3・7・23)、(2,3・7・23)、(3,2・7・23)、(7,2・3・23)、(23,2・3・7)、(2・3,7・23)、(2・7,3・23)、(2・23,3・7)、(3・7,2・23)、(3・23,2・7)、(7・23,2・3)、(2・3・7,23)、(2・3・23,7)、(2・7・23,3)、
(3・7・23,2)、(2・3・7・23,1)の16通りありますが、コツ28を使うと、
「範囲」は、x>1、y>1、つまり、x≧2、y≧2ということで、2x+y+1≧7,3x+5y+1≧17
「大小」は、2x+y+1<3x+5y+1
とわかります。これらに当てはまるものは、(2x+y+1,3x+5y+1)=(7,2・3・23)、(23,2・3・7)、(2・7,3・23)、(3・7,2・23)の4つのみで、それを解くと2組だけが答えになります。

[Ⅰ]7)(6点/6)

『数ⅡB編』の9-28です。「点Dから平面ABCに下した垂線の足」を求める代わりに、『数ⅡB編』の9-30で紹介したように「平面ABCの方程式」を求め、POINT106を使って求めることも出来ます。

[Ⅱ](1)(0点/15) (15点/15)

(ⅰ)6個の異なる点から3個の点を選ぶのは通り( 『数ⅠA編』の6-14)。そのうち三角形の面積を最小にするには隣り合う3点を選ぶということなので6通りあり、全体で割れば求まります( 『数ⅠA編』の6-23)。
ちなみに、「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」うかる23でこの手の問題を扱っています。個人的には『やさしい~シリーズ』しかやっていない人でも解けるのではと思いますが、ここは心を鬼にして、辛めに判断します。

(ⅱ)(ⅰ)と同様で、n個の異なる点から3個の点を選ぶのは通り、そのうち隣り合う3点を選ぶ(三角形が正n角形と2辺を共有するようにする)のはn通りで、確率がわかり、(n-1)(n-2)≧6420の式になります。
展開して、全て左辺に集め、因数分解しようとしたらできないため、解の公式で解を求めて、計算をした人も多かったと思います( 『数ⅠA編』の3-12)。実際にそれで求められます。
しかし、nは6以上の自然数で、(n-1)(n-2)は単調増加なので、「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」407ページColumnで紹介したように、nに色々自然数を代入して6420以上になるものを探すという方法が楽でいいです。

(ⅲ)UからAを除いた部分を全体と考えるということは、-n通りです。
隣り合う3点を選ばないものの中で面積が最小になるのは、「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」うかる23で似たことをやっています。
まず、隣り合う2点を選ぶ(三角形が正n角形と1辺を共有するようにする)のにn通り。それらに隣り合わない、それも出来るだけ近い点を選ぶのに2通り。よって、2n通りです。

[Ⅱ](2)(0点/10)

まれに出てくる入試問題の1つですが、私は本に収録しませんでした。「過去に解いたことが無いが初見で解けた。」という人がいないとは言えませんが、かなり少数派でしょう。

[Ⅲ](1)(7点/7)

常に通る点は、『数ⅡB編』の3-8。接線の方程式は、『数ⅡB編』の6-8

[Ⅲ]2)(4点/4)

接点がわからないときの接線の方程式は、『数ⅡB編』の6-9。2次関数の最大・最小は、『数ⅠA編』の3-6

[Ⅲ]3)(14点/14)

極値をとるxの値から、元の式を求めるのは、『数ⅡB編』の6-15です。
交点Qを求めるのは、『数ⅡB編』の7-1の572ページで説明されています。x=-2で接しているわけですから、連立させると、(x+2)^2を因数にもちます。
三角形の面積の求め方は色々ありますが、3頂点の座標がわかっているなら、『数ⅡB編』の9-10の方法が一番楽でしょう。


慶應義塾大学(薬)の問題は100点満点ですが
「やさしい~シリーズ」のみで勉強した人は67点、
「やさしい~シリーズ」
「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」両方で勉強した人は90点ということになります。


2021年・早稲田大学(人間科学・理系)に、青は「やさしい~シリーズ」のみ、赤は「やさしい~シリーズ」「100+100シリーズ」両方で勉強して臨んだ場合の点数。(問題の配点については非公表のため推測。)

[問1](1)(3点/3)

『数ⅠA編』の6-21。「同じ人数ずつ名前の無いグループに分けるから、4!で割る。」を忘れていなければ、105通りという結果が出ます。

[問1](2)(0点/7)

まず、普通に求めようとしますが、かなり大変とわかるので。余事象(『数ⅠA編』の6-2)のほうがいいのでは?と気が付きます。
例えば、同じ組になる状態を-で表現することにし、A、a、B、b、C、c、D、dの8人がいて、初めはAとa、Bとb、Cとc、Dとdが同じ組だったとします。(つまり、A-a、B-b、C-c、D-dとします。)ペアをシャッフルした後の組み合わせが以前のものと
(ⅰ)4組とも同じになる
1通り
(ⅱ)2組だけ同じになる
・A-a、B-bになるときなら、残りは「C-D、c-d」か「C-d、D-c」の2通り。
・A-a、C-cになるとき
・A-a、D-dになるとき
・B-b、C-cになるとき
・B-b、D-dになるとき
・C-c、D-dになるとき
でも2通りになるので、2・6=12通り。
(ⅲ)1組だけ同じになる
・A-aになるときなら、
例えば、Bが誰と組むかを考えてみるといい。B-Cなら、残りは「b-D、c-d」か「b-d、c-D」の2通り。同様に、B-cでも2通り。B-Dでも2通り。B-dでも2通り。よって、8通り。
・B-bになるとき
・C-cになるとき
・D-dになるとき
でも8通りになるので、8・4=32通り。
これら(ⅰ)(ⅲ)(ⅲ)を全体の105通りから引けばよいというわけです。
理屈の上では本の知識だけで解けることになりますが、現実に正解できるかというば怪しいです。

[問2]1)(5点/5)

『数ⅡB編』の5-10、5-20で学んだ方法で解けばよい。
面積の計算は『数ⅡB編』の7-12。2つの放物線の共有点のx座標は難しいものになりますが、そのまま解いてもいいし、『数ⅡB編』の7-17でやったようにα、βとおいて解いてもいい。

[問2]2)(2点/2)

ヘロンの公式。(『数ⅠA編』の数学お役立ち話4

[問2]3)(3点/3)

『数ⅠA編』の7-9で登場。「n進法で2021(n)と表される数」は、2・n^3+2n+1。
もし、2進法なら2という数は使わないはずだから、3進法、4進法、5進法、・・・ということになる。n=3のときは素数。n=4のときも素数。n=5のときは合成(素数でない)。

[問3](0点/10)(10点/10)

絶対値を場合分けで外せば、簡単にグラフが書けます。
x軸、y軸上にある格子点(整数点)は容易にわかるし、第一象限にあるものは、「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」うかる83で扱っています。第四象限にあるものは、それと同数。

[問4](3点/10)

(cosΘ,sinΘ)
((1/2)・cosΘ+(1/2)・cos2Θ,(1/2)・sinΘ+(1/2)・sin2Θ)
これに、Θ=π/4を代入すればよい。
((1/2)・cosΘ+(1/2)^2・cos2Θ+(1/2)^2・cos3Θ,(1/2)・sinΘ+(1/2)^2・sin2Θ+(1/2)^2・sin3Θ)
((1/2)・cosΘ+(1/2)^2・cos2Θ+(1/2)^3・cos3Θ+(1/2)^3・cos4Θ,(1/2)・sinΘ+(1/2)^2・sin2Θ+(1/2)^3・sin3Θ+(1/2)^3・sin4Θ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ということで、
((1/2)・cosΘ+(1/2)^2・cos2Θ+・・・+(1/2)^(n-1)・cos(n-1)Θ+(1/2)^(n-1)・cosnΘ,(1/2)・sinΘ+(1/2)^2・sin2Θ+・・・+(1/2)^(n-1)・sin(n-1)Θ+(1/2)^(n-1)・sinnΘ)になります。
=(1/2)・cosΘ+(1/2)^2・cos2Θ+・・・+(1/2)^(n-1)・cos(n-1)Θ+(1/2)^(n-1)・cosnΘの極限ですが、最後の一つだけが形が違うので、別々に求めることになります。
まず、最後の一つにΘ=π/3を代入した、lim(1/2)^(n-1)・cos(nπ/3)は、はさみうちの原理(『数Ⅲ編』の4-8)で、0と求まります。
それ以外の所はΘ=π/3を代入し、n→∞にすると、
=(1/2)・(1/2)+(1/2)^2・(-1/2)+(1/2)^3・(-1)+(1/2)^4・(-1/2)+(1/2)^5・(1/2)+(1/2)^6・1+・・・
  =(1/4)+(-1/8)+(-1/8)+(-1/32)+(1/64)+(1/64)+・・・
ということで、京都大学の3の問題と同様に、ある項と、その3つ後の項を比べると、(1/2)^3倍になり、さらに角度がπ増えるためにcosの値が-1倍になり、結果-1/8倍になるため、
1、4、7・・・番目、2、5、8・・・番目、3、6、9・・・番目というふうにまとめると、各々が公比-1/8の無限等比級数になり、答えが求まります。
の極限のほうも同じ方法でたどり着けます

これも本の内容のみで解けることになりますが、現実に正解は厳しいと思います。

[問5](10点/10)

『数Ⅲ編』の1-3を勉強した人は前半は余裕だったと思います。接線の方程式も『数Ⅲ編』の1-5で出来ます。
その後、P(p、q)と取るとき、『数ⅡB編』の数学お役立ち話15で言ったように、「双曲線上にあるので、代入して、・・・①」を忘れないようにしたいです。
T/Sは、pとqの式になるため、qを消去したいということで、q=の形にして代入するが普通。でも、今回は√になって面倒なので、”T/Sの2乗”の最大値を求めて、最後に√を付けるのが賢いでしょう。
数Ⅲの増減表でも解けますが、p^(-4)、p^(-2)、定数項というふうに、偶数乗しかないので、京都大学の2の問題でも登場した通り、p^(-2)をtとかの文字に置き換えて、2次関数で考えるのが頭のいいやり方です。

早稲田大学(人間科学・理系)の問題は50点満点ですが
「やさしい~シリーズ」のみで勉強した人は26点、
「やさしい~シリーズ」
「おさえておきたい数ⅠAⅡB基礎100+応用100」両方で勉強した人は36点ということになります。

「おさえておきたい数Ⅲ50+50」の発売は、早稲田大学の入試後になって残念でしたが、今後はもっと正解率が上がると思われます。



2020年・センター試験

数ⅠA

第1問 

[1] (1)ア~ウは、2次不等式(『数ⅠA編』の3-11
(2)x軸との交点は、y=0を代入すれば求まるのは、いまさら言う必要もない。エ~キは、分数無くしてから、やはり、2次不等式で解けます。ク~シは、代入して、分母を有理化(『数ⅠA編』の1-12)して答えるだけです。

[2] (1)要素(『数ⅠA編』の2-1のp.154、共通部分、補集合(『数ⅠA編』の2-3)等の基本がわかっていれば、スは全く問題ないでしょう。
(2)セ~タは説明するまでも無いでしょう。
(3)反例(『数ⅠA編』の2-7のp.178)の意味が分かっていれば、(1)(2)の結果からチも解けます。

[3] (1)平行移動しても最高次の係数は変化しない(『数ⅠA編』の3-5のp.216)。また、x軸との2つの交点がかっていることから、『数ⅠA編』の3-5のコツ17のやり方が使えて、ツ、テが求まります。
ト~ヌは、まず、直線x=3との交点のy座標か求められて、これが-3から0の間(両端を含む)にあるということで、ここも、2次不等式(『数ⅠA編』の3-11)で解けます。
(2)Gが点(3,-1)を通るから、x、yに代入できて、cが求まります。平方完成(『数ⅠA編』の3-2)すれば、頂点の位置より、どれだけ平行移動しているのかがわかり(『数ⅠA編』の3-4のp.211、ネ~ヒが解けます。y軸との交点は、x=0を代入するだけなのでフ~ホは楽勝でしょう。p^2

第2問

[1] アは、△BCDで余弦定理(『数ⅠA編』の4-10)で求まります。

三角比の相互関係(『数ⅠA編』の4-5)を使ってcos∠BCDからsin∠BCDを求め、△BCDで正弦定理(『数ⅠA編』の4-9)を使えば、sin∠BDCがでます。sin∠ADCはsin(180°-∠BDC)ということで、180°-Θの公式(『数ⅠA編』の4-13のpoint37)を使えばイ~エが求まります。(または、△BCDで余弦定理を使って、まずcos∠BDCを出し、90°-Θの公式(『数ⅠA編』の4-13のpoint38)でsin∠BDCを導いた後、sin∠ADCを出してもいいです。)

オは、角の2等分線の比(『数ⅠA編』の4-14のpoint39)でわかります。

AD=x、AC=゛ルート2”倍のxとして、△ACDで、3辺とcos∠ADCで余弦定理を使うと、x=1となり、キ~ケの答えにたどり着きます。
(ちなみに、△ACDで、3辺とcos∠ACDで余弦定理を使った人は、x=1,2の答えがでます。しかしx=2なら、△ABCは、CA=CBの二等辺三角形で、∠ADC=90°になってしまい、矛盾が生じます。)

キ~ケは、外接円の半径なので、当然、正弦定理です。よって、A、B、Cいずれかの角のsinの値を前もって求めておかなければなりません。△ADCで正弦定理を使ってsin∠DACを求めます。(または、△BDCで正弦定理を使ってsin∠DBCを求めてもいいし、数Ⅱの知識のある人はsin∠ACBを2倍角の公式使って求めた人もいるでしょう。)そして、最後に△ABCで正弦定理を使って終了です。

[2] (1)⓪は一瞬、正しいように見えるが、誤。例えば、7人がテストを受けて、一人が70点。他の六人が全員0点なら、平均は10点だが、第一四分位数、第三四分位数ともに0になり、成り立たないはずです。
①は異常に難しいので、飛ばした方がいいです。説明も省略します。出題者側も解けないのを承知で出しているはずです。
②は、例えばすべて同じ値のときとかは成り立ちません。
③99個の値を小さい順に並べると、50番目が中央値。1~49番目の真ん中(つまり、25番目)が第一四分位数になります。
最大のものを除いた98個で考えると、真ん中が無いので、49番目と50番目の平均が中央値で、1~49番目の真ん中が第一四分位数になるので、変わりません。よって、正しいです。
➃も、すべて同じ値のときなどは成り立ちません。怪しいと思ったら、反例を探してみるといいです。(『数ⅠA編』の2-7のコツ13)極端な例を考えたほうが見つけやすいと思います。
⑤第一四分位数より小さいものと、第三四分位数より大きいものを削除すれば、第一四分位数、第三四分位数だったものが、それぞれ最小、最大になります。よって、元のデータの四分位範囲と、削除後の範囲は同じものです。
ここから、コ、サの答えは、③、⑤とわかります。

(2)箱ひげ図(『数ⅠA編』の5-3)の問題。
(Ⅰ)はP10が当てはまらないので誤。(Ⅱ)は見たらすぐ誤とわかる。(Ⅲ)はP47の最小でさえ、P1の最大と比べて1.5以上大きい。ましてや、お互いの値どうしを比べればなおさら差が大きいわけで、正。よって、シは⑥。

(3)箱ひげ図とヒストグラム(『数ⅠA編』の5-3)の問題。
どこから見てもいいのだが、例えば、最小は79.5以上8.0未満、最大は81.5以上82.0未満であることに注目すると、その時点で➃、⑤のどちらかということになる。
中央値は、値の小さいほうから数えて10人目と11人目の平均ということになるが、二人とも80.5以上81.0未満になるので、平均もそういう値になるが、これは、どちらも満たしている。
第一四分位数は、5人目と6人目の平均ということになるということで、スの答えは➃になる。

(4)散布図(『数ⅠA編』の5-6)とヒストグラム(『数ⅠA編』の5-3)の問題。問題でも説明しているが、一番下の斜線は男女の平均寿命の差が5.5、その上が6.0ということで、その間に9人いる。ということは、当てはまるのは③しかなく、これがセの答えになる。


第3問

[1] ⓪は、「少なくとも1回は・・・」ということなので、余事象(『数ⅠA編』の6-2)で求めます。5回ともウラが出る確率は"(1/2)の5乗"、つまり、1/32なので、確率p=1-1/32=31/32=0.96・・・ということで、これは正しいです。
①は、間違いです。「試行を5回やってみたら、赤球が3回出た。」は今回たまたまそうなっただけの話で、同じことをもう一度やれば違う結果になるかもしれません。(何百回、何千回もやって平均を取れば本当の値にかなり近づききますが、それでも完全に一致するわけではありません。)
②は、まず、確率の問題ですから、小道具は区別して考えます。(『数ⅠA編』の6-23い、ろA、ろB、はC、はDの5個あるとしましょう。
これも余事象のほうが楽でしょう。全体で5C2=10通りで、このうち同じ文字を取るのは、「ろA、ろBを取ったとき」と「はC、はDを取ったとき」の2通りなので、確率は2/10=1/5。よって、書かれた文字が異なる確率は1-1/5=4/5なので、正しいです。
この段階でア、イの答えは、⓪、②とわかるので、③は目を通す必要はありませんが、一応、触れておきます。

条件付き確率(『数ⅠA編』の6-29)です。「出た面を見た2体がともにオモテと発言する事象」をA、「実際に表が出ている事象」をBとすると、求めるものは、P(A⋀B)/P(A)、つまり、

(出た面を見た「2体がともにオモテと発言し、かつ、実際に表が出ている確率)/(出た面を見た2体がともにオモテと発言する確率)  です。

まず、分子ですが、表が出る確率は1/2、つまり、0.5。2体が「オモテ」と発言する確率はともに0.9より、0.5×”0.9の2乗”。

分母は、「表が出て、2体がともにオモテと発言する確率」の他に、「ウラが出て、2体がともにオモテと発言する確率」もあるので注意しましょう。後半の確率は、0.5×”0.1の2乗”なので、合わせて、0.5×”0.9の2乗”+0.5×”0.1の2乗”です。

求める確率p=0.5×”0.9の2乗”/(0.5×”0.9の2乗”+0.5×”0.1の2乗”)
        =”0.9の2乗”/(”0.9の2乗”+”0.1の2乗”)
        =”9の2乗”/(”9の2乗”+”1の2乗”)
        =81/82
        =0.98・・・
よって、間違いです。

[2] (1)ウ、エは2回ともウラが出たということで、確率は"(1/2)の2乗"、つまり、1/4です。
オ、カは、表、ウラが1回ずつ出たということで、表、ウラの順に出たら確率は"(1/2)の2乗"ですが、ウラ、表の順に出たときがあるので(『数ⅠA編』の6-16)、"(1/2)の2乗"×2で、1/2です。

(2)持ち点が再び0点になるのは、表が1回、ウラが2回出たときなので、キの答えは3回です。確率は、表、ウラ、ウラの順に出たら"(1/2)の3乗"で、それと同じものが3!/2!=3通りあるので(『数ⅠA編』の6-16)、"(1/2)の3乗"×3で、ク、ケの答えは3/8です。

(3)持ち点が4点で終了したということは、5回投げたということで、そのうち表が3回、ウラが2回出たということです。確率は、表、表、表、ウラ、ウラの順に出たら"(1/2)の5乗"で、それと同じものが何通りあるかですが、普通に並べると5!/3!2!=10通りです。しかし、ここで注意して欲しいのは、「初めの3回で表が1回、ウラが2回出てはいけない。」ということです。それならば、3回終了時に持ち点が0点で終了してしまうからです。(ここは、『やさしい高校数学』で扱っていない内容です。)初めの3回で表が1回、ウラが2回出るのは(2)で求めたように3通り。その次の2回でともに表が出るのは1通りなので、3×1=3通りあります。これは除かなければなりません。よって、10-3=7通りということになります。"(1/2)の5乗"×7で、コ~シの答えは7/32です。

(4)条件付き確率(『数ⅠA編』の6-29)です。「ゲームを終了した時点で持ち点が4点である事象」をA、「コインを2回投げ終わって持ち点が1点である事象」をBとすると、求めるものは、P(A⋀B)/P(A)、つまり、

(ゲームを終了した時点で持ち点が4点であり、かつ、コインを2回投げ終わって持ち点が1点である確率)/(ゲームを終了した時点で持ち点が4点である確率)

です。分母は(3)で既に求めているため、分子を求めましょう。コインを2回投げ終わって持ち点が1点ということは、1、2回目は表、ウラ1回ずつ。そして、次で終了してはいけないので、3回目は表を出し、残りの4、5回目も表、ウラ1回ずつということになります。
"(1/2)の2乗"×2×(1/2)×"(1/2)の2乗"×2=1/8
となり、ス、セは4/7になります。

第4問

(1)ア~エは、循環小数を整数に直す問題(『数ⅠA編』の1-11)です。「n個の循環なら、"10のn乗"を掛けると桁がn個繰り上がり、これから元の式引けば循環の部分が消える。」ということで、今回は"10の2乗"つまり100を掛ければ、桁が2個繰り上がり、計算ができます。かなり有名な問題ですが、問題がご丁寧にやり方を説明してくれていて、優しいなと感じました。

(2)(1)と同じです。今回は7進法なので、"7の2乗"つまり49を掛けると、桁が2個繰り上がり、同様の計算ができます。このとき、左辺は10進法だが、右辺は7進法になっているので10進法に直す必要があります。(『数ⅠA編』の7-9の例題7-13(3)
オ~クは、これで求められます。

(ⅰ)yの分母は48ですが、これが約分されて4になるということは、分子は12の倍数でなければなりません。
しかし、24の倍数になってしまうと、さらに約分されて分母は2になってしまうのでダメです。
また、★a、bは0以上6以下の異なる整数なので、分子の98+7a+bが最小になるのは、a=0、b=1のときで99。最大になるのは、a=6、b=5のときで145です。(『やさしい高校数学』で扱っていない内容です。)
さらに、☆もしもa、bが同じ数なら、7a+bは7a+a=8aで、8の倍数になるし、その逆もいえます。今回のa、bは異なる整数なので、8の倍数になりません。(『やさしい高校数学』で扱っていない内容です。)
すなわち、分子は、
・12の倍数だが、24の倍数でない
★99から145までの整数
☆98+(8の倍数)でない。

の条件を満たすもので、当てはまるのは、108と132のみです。それぞれy=9/4、y=11/4ということになり、これがケ~サの答えです。
(注:実際は、★のようにせず大雑把に「98+7a+bだから、98以上だろう。」とした人、☆が全く思い浮かばなかった人、またはその両方の人でも、今回は答えに影響せず、マーク式なら正解できます。かなり不本意ですが、『やさしい高校数学』の知識だけで正解に辿り着ける問題としてカウントします。厳密には上のように解くべきで、★、☆の無い人は記述式のときは減点の対象になるので注意してください。

y=11/4のときは、7a+b=34より、当てはまるのは、a=4、b=6で、これがシ~ソの答えです。

(ⅱ)y-2=(7a+b)/48であり、約分して分子が1になるということは、7a+bが48の約数ということになります。ただし、48なら、分母も1になって当てはまりません。
さらに、(ⅰ)で述べた通り、7a+bは8の倍数になりません。
すなわち、分子は、
・48を除く、48の約数
・8の倍数でない。(ここは、『やさしい高校数学』で扱っていない内容です。)
の条件を満たすものです。
48="2の4乗”×3として約数を考えますが、「2」を3回以上かけると8の倍数になってしまうため、
「2」は掛けない、1回掛ける、2回掛けるの3通り、
「3」は掛けない、1回掛けるの2通りというわけで、
3×2=6個あります。(『数ⅠA編』の7-4)
これで、タが求まりました。

第5問

アはチェバの定理、イ~オはメネラウスの定理(いずれも『数ⅠA編』の8-7)です。

カ~ク
は、それぞれの三角形が全体の何倍かを調べるだけです。
△CDGはBCを底辺と考えると、△ABCと比べ、底辺が1/8、高さが1/2なので、全体の1/16。△BFGはABを底辺と考えると、△ABCと比べ、底辺が1/2、高さが7/9なので、全体の7/18。前の結果から後ろの結果を割れば答えになります。

FDがわかれば、ECの長さもわかるので、AB=xとして方べきの定理(『数ⅠA編』の8-9)を使えばケ、コの答えがわかります。

AEがわかれば、AFの長さがわかります。サ、シは楽勝でしょう。
この答えが、先ほどの問題で計算したAB・AGの値と一致していることに気が付けば、4点B、G、E、Cが同一円周上にあると気が付き(『数ⅠA編』の8-13のp.589の要チェック③)、∠AEG=∠ABCとわかって、スが求まります


数ⅡB

第1問 

[1] (1)加法定理(『数ⅡB編』の4-10)を知っていたらア~ウが求まります。その結果を①に代入して、一方の辺に集め、三角関数の合成(『数ⅡB編』の5-20)でエがわかります。は説明するまでもないでしょう。その後は、『数ⅡB編』の4-4の知識です。角度がΘ+π/3なので、まず、Θ+π/3の範囲を求めて、それを単位円になぞると、sinが負、つまり、y座標が負の所がΘ+π/3の答えになります。後は、Θに直すの忘れないように。オ~クの答えが出ます。

(2)2次方程式の解と係数の関係(『数ⅡB編』の2-7)より、sinΘ+cosΘ、sinΘcosΘの値が出ます。そして、sinΘ+cosΘとsinΘcosΘの関係(『数ⅠA編』の4-7のpoint32)に当てはめると、ケ、コが求まります。kがわかったことで、元の2次方程式が計算出来て、サ~セが求まります。Θの場所を単位円に書き込んでみましょう。π/4やπ/3のときy座標がどうなるかを考えれば、ソの答えがわかるでしょう。

[2] (1)は、『数ⅠA編』の5-7の知識を使うだけです。aをt、xを1/3と考えれば簡単に求められます。

(2)積、商、累乗の対数の公式(『数ⅡB編』の5-13)を使って変形し、指定された通りに置き換えれば、ヌ~フが求まります。
横軸X、縦軸Yのグラフで領域か書けて、ヘがわかります。Yがわかったことで、Xの範囲もわかり、xの範囲も求まって、ホの結果にたどり着きます。

第2問

(1)ア~シは、共通接線(『数ⅡB編』の6-10)知っていれば、楽勝だったと思います。まさに、サービス問題でした。

(2)スは連立するだけ。セ、ソは定積分で計算です。Cと直線lはx=0で接しているので、連立させたり、引いたりしたら、x=0の重解をもつ。つまり、”xの2乗”を因数にもつことになります。これを使うと計算が楽です。(『数ⅡB編』の7-13のp.570

(3)1は、0とaの間にあるのか、aと2aの間にあるのか不明です。それによって囲まれる図形が変わるので、場合分けして考えるとになります。タ~ヌの答えが出ます。

(4)普通に計算すれば、3次関数になります。増減表で最大値が求められます。(『数ⅡB編』の6-16

第3問

(1)アは、n=1を代入するだけ。

(2)イも、n=1を代入するだけ。
今回は置きかえ方が書いてあるので、ヒントのある漸化式(『数ⅡB編』の8-32)の方法で解けます。bn+1=で計算すれば、右辺の一部にbに当たるものが現れて、それを置き換えると、ウ~カがわかります。
そして、右辺の分数部分を2つの分数に変形すると(『数ⅡB編』の8-16のp.661)、キが求まります。
出来た式は、階差数列の漸化式(『数ⅡB編』の8-24)なります。Σの部分の計算は時間がかかるので、そこだけピックアップして計算しているようです。分数列(『数ⅡB編』の8-16)の知識を使えば、ク~コに入る数がわかるし、Σa”rのk-1乗”(『数ⅡB編』の8-13)の計算を知っていれは、サ~セも求められます。
それらの結果を階差数列の計算式に代入すれば、ソ~チが出てきます。

(3)bの所に(2)の冒頭の式を入れて計算すれば、ツ~ヌです。

(4)a3k=”3の3k-1乗”×(9×”kの2乗”-4)+(9/2)×k(k+1)+1
になります。各項を一つ一つ見ていきましょう。
”3の3k-1乗”×(9×”kの2乗”-4)は3の倍数です。
また、k、(k+1)のどちらかは偶数になるので、(9/2)×k(k+1)は整数です。もっと言えば、9の倍数になります。(ということは3の倍数ともいえる。)
(3の倍数)+(3の倍数)+1という数なので、3で割った余りは1です。これがネの答えになります。

3k+1=”3の3k乗”×(9×”kの2乗”+6k-3)+(1/2)×(3k+2)(3k+3)
”3の3k乗”×(9×”kの2乗”+6k-3)は3の倍数です。
また、(3k+2)、(3k+3)のどちらかは偶数になるので、(1/2)×(3k+2)(3k+3)は整数で、3の倍数です。
(3の倍数)+(3の倍数)という数なので、3で割った余りは0です。これがノの答えになります。

3k+2=”3の3k+1乗”×(9×”kの2乗”+12k)+(1/2)×(3k+3)(3k+4)
”3の3k+1乗”×(9×”kの2乗”+12k)は3の倍数です。
また、(3k+3)、(3k+4)のどちらかは偶数になるので、(1/2)×(3k+3)(3k+4)は整数で、3の倍数です。
(3の倍数)+(3の倍数)という数なので、3で割った余りは0です。これがハの答えになります。

1=0、a2=6より、これらは3の倍数です。また、
3kが(3の倍数)+1ということは、a3、a6、a9、・・・a2019は、(3の倍数)+1という数です。
3k+1が3の倍数ということは、a3、a6、a9、・・・a2020は、3の倍数という数です。
3k+2が3の倍数ということは、a5、a8、a11、・・・a2018は、3の倍数です。

3、a6、a9、・・・a2019は、673個あります。
ということは、a1からa2020まですべて足すと、(3の倍数)+673という数になるということで、これを3で割ると余りは1で、これがヒの答えになります。
(4)は、『やさしい高校数学』の知識のみで解くのは難しいと考えます。(たまたま解けた人もいるかもしれませんが・・・)

第4問

(1)ア~エは、ベクトルの成分から大きさを求める公式(『数ⅡB編』の9-3のpoint90。オ、カは、ベクトルの成分から内積を求める公式(『数ⅡB編』の9-8のpoint95です。

(2)("OAベクトル")=("aベクトル")、("OBベクトル")=("bベクトル")、("OCベクトル")=("cベクトル")とすると、
『数ⅡB編』の9-27のpoint104の知識を使うと、Cは、3点O、A、Bと同じ平面上にあることから、("cベクトル")=(1-s-t)("0ベクトル")+s("aベクトル")+t("bベクトル")、つまり、("cベクトル")=s("aベクトル")+t("bベクトル")と表せます。しかし、毎度のことながら、出題側は「知らないんじゃないか?」ということで、("OCベクトル")=s("OAベクトル")+t("OBベクトル")と書いてくれています。

①より、("OAベクトル")⊥("OCベクトル")ということは、("OAベクトル")・("OCベクトル")=0(『数ⅡB編』の9-9です。また、("OBベクトル")・("OCベクトル")=24もわかっています。
("OCベクトル")の成分をs、tで表して、これらで計算すれば、2式できて、連立させればキ~コがわかります。("OCベクトル")の成分がわかったことで、その大きさもわかり、サ、シが求まります。


ちなみに、("OCベクトル")の成分を求めずに
、("OCベクトル")=s("OAベクトル")+t("OBベクトル")の形のまま①の式に代入しても求められます。
『数ⅡB編』の9-7のp.758で出てきた、("OAベクトル")・("OAベクトル")="|"OAベクトル"|の2乗"の知識を知っていればキ~コがわかります。
成分がわかっていなくて、|"OCベクトル"|つまり|(-2/3)×("OAベクトル")+("OBベクトル")|を求めるやり方は『数ⅡB編』の9-11で勉強しているので、大丈夫でしょう。

(3)Cの座標がわかり、("CBベクトル")の成分は、(Bの座標)-(Cの座標)『数ⅡB編』の9-2で求められます。("CBベクトル")が("OAベクトル")の正の定数倍ということで、向きが同じとわかり、四角形OABCは台形になります。これが、チです。
ツ、テは図を書いて、小学校で習った、(上底+下底)×高さ×(1/2)の公式で求めてください。

(4)Dの座標を(x,y,1)として、普通に計算すれば、ト~ノがわかります。ここから、|"ODベクトル"|もわかります。∠CODは、("OCベクトル")と("ODベクトル")のなす角のことなので、『数ⅡB編』の9-8のコツ20で求めれば、ハ、ヒがわかります。

("OAベクトル")は、平面β上の二つの一次独立な("OCベクトル")、("ODベクトル")に対して、両方と垂直なので、("OAベクトル")⊥平面β(『数ⅡB編』のお役立ち話28とわかります。よって、平面α⊥平面βになるわけですが、さすがに気が付かないだろうということで、これは問題文に書いてくれています。

紙を二枚用意し、一枚を机の上に置いて、これを平面αと見なし、それに垂直になるように立てたもう一枚を平面βと考えます。そして、今までわかった長さや角度を書き込んでいきます。Dから直線OCに垂線下すと、30°、60°、90°の直角三角形になることから三辺の長さの比がわかり(『やさしい中学数学』中3の6-3のpoint71、フが判明します。

底面の△ABCの面積は求められるし、高さもわかっていますから、(底面積)×(高さ)×(1/3)(『やさしい中学数学』中1の6-13のpoint31)の公式でヘ、ホを求めて終了です。


数ⅠAは、第3問と第4問を選択した人は89点、第3問と第5問なら93点、第4問と第5問なら96点。
数ⅡBは、97点

2019年・センター試験

数ⅠA

第1問 

[1] ア、イは、中学校で習った因数分解の公式を使います(『やさしい中学数学』中3の1-14)。ウ~サは、まず、「2乗のルート」は絶対値になり(『数ⅠA編』の1-29)、その後は絶対値を2つある式(『数ⅠA編』の1-28)の計算で出来ます。

[2] (1)否定(『数ⅠA編』の2-6)がわかっていれば、大丈夫です。
(2)必要条件、十分条件(『数ⅠA編』の2-8)。特に、タは普通に考えると難しいので、対偶が真か偽かを調べるといいでしょう(『数ⅠA編』の2-7)

[3] (1)平方完成(『数ⅠA編』の3-2、3-10)。
(2)点(-1,6)を通るから、x、yに代入できて、bがaの2次式で表されます。その後は平方完成(『数ⅠA編』の3-2し、2次関数の最大最小(『数ⅠA編』の3-6)、平行移動(『数ⅠA編』の3-4)の知識で解けます。

第2問

[1] ア~エは、余弦定理(『数ⅠA編』の4-10)、オ~キは、三角比の相互関係(『数ⅠA編』の4-5)、ク、ケは、180°-Θの公式(『数ⅠA編』の4-13のpoint37)を使えば求まります。さらに、ACの中点をMとすると、直角三角形AMDを使ってコがわかる(『数ⅠA編』の4-1。三角形の面積の公式(『数ⅠA編』の4-12)で△ABCの面積を求めると、ADがABの何倍かわかっているわけですから、サ~セもわかります。

[2] (1)(2)ヒストグラムと箱ひげ図(『数ⅠA編』の5-3)を知っていれば楽勝でしょう。「四分位範囲」という言葉が登場しますが、この意味は『数ⅠA編』の5-2で説明しています。

(3)テ、トは普通に計算すれば求まります。テのほうは、「偏差つまり『値-平均』を全部足せば0に決まっている。和が0ということは、平均も0でしょ。」ということに気が付いた人はもっと素晴らしいです。各偏差を全部Sで割って足しても0だから、平均も0ということで、トもわかります。

ト、ナは『数ⅡB編』の10-3の知識を使えば早いです。

「aD+bの平均」は、a×「Dの平均」+b
「aD+bの分散」は、「Dの分散」のa倍、
「aD+bの標準偏差」は、「Dの標準偏差」の|a|倍、

i´=(1/s)・Xi-(1/s)・(xの上に横棒のついたもの)で、
iの平均が(xの上に横棒のついたもの)なので、
i´の平均は(1/s)・(xの上に横棒のついたもの)-(1/s)・(xの上に横棒のついたもの)。すなわち0です。
i´の標準偏差は、Xiの標準偏差の|1/s|倍つまり1/s倍だから、1です。

2016、2017年でも登場しており、必ず覚えて試験に望むように強調したので、従ってくれた人はラッキーでしたね!
ちなみに、ナは普通に計算しても求められますが、かなりハードなので、2017年と同じ理由で、(個人的にはちょっと腑に落ちないのですが、)『やさしい高校数学』では、扱っていない問題とみなします。

ニは難しいです。図4を見てみましょう。横軸がMですが、これから平均(93くらい?)を引いて、1/s倍つまり正の数を掛けたものが、図5の横軸M´です。要するに「値をずらして縮小した」だけです。縦軸のほうもそうです。ということは、散布図の点の配置は変わっていないわけなので、図5の0、2のどちらかになります。そして、図5の0の横軸M´に注目してみましょう。M´の平均は0です。各値の偏差つまり『値-平均』はすべて-1から1の間です(差なら0から1の間)。これらを2乗した値は0..・・・という数です。それらを全部足して、個数で割ると、分散も0..・・・という数になります。標準偏差はそれに√を付けた数なのでやはり0..・・・という数になります。ナで標準偏差が1と求めたわけなので、矛盾することになり、2が正解です。これも『やさしい高校数学』では、扱っていない問題とみなします。

第3問

(1)ア、イは「1回目に赤い袋を選び、かつ、赤い袋から赤球をとる。」なので、確率どうしをかけます。ウ、エも「1回目に白い袋を選び、かつ、白い袋から赤球をとる。」なので、やはり、確率どうしをかけます。(『数ⅠA編』のお役立ち話7

(2)普通やっても求められますが、余事象(『数ⅠA編』の6-2)のほうが楽でしょう。(1)から赤球を取るほうの確率がすぐわかるからです。ア、イとウ、エの2つのケースがありますが、どちらか一方しか起こらないから足すことになります。(『数ⅠA編』のお役立ち話7)それを全体の確率1から引けば正解になります。

(3)同じような感じです。「1回目に白玉を取り、かつ、2回目は白い袋から白球をとる。」と、「1回目に赤玉を取り、かつ、2回目は赤い袋から白球をとる。」の両方を求めて足せばク、ケがわかるのですが、pという数は(2)で求めているので、そのまま代入するとコ~セがわかります。ソ~トも、「2回目に白玉を取り、かつ、3回目は白い袋から白球をとる。」と、「2回目に赤玉を取り、かつ、3回目は赤い袋から白球をとる。」の両方を求めて足せばいいです。

(4)条件付き確率(『数ⅠA編』の6-29)です。

第4問

(1)ア~キは、ax+by=c(a、b、cは整数)を満たす整数x、yを求める(『数ⅠA編』の7-8)という問題です。

(2)Aは49の倍数なのでa=49x(xは整数)とおけるし、Bは23の倍数なのでb=23y(yは整数)とおける。(『数ⅠA編』の7-6
ク~コですが、49x-23y=1と、49x-23y=-1があり、
前者は(1)で求めました。x=23k+8、y=49k+17(kは整数)で、x、yが最小の自然数になるのは、k=0のときでx=8、y=17です。
後者は求めるところから始めます。まず、「49x-23y=-1の答えのうちの一つ」を探すのですが、(1)の計算の冒頭で、x=8、y=17を代入すれば49x-23y=1が成り立つとわかりました。ということは、x=-8、y=-17を代入すれば49x-23y=-1が成り立つということになります。その後計算すると、x=23k-8、y=49k-17(kは整数)で、x、yが最小の自然数になるのは、k=1のときでx=15、y=32です。
前者のほうが小さいようです。
サ~スは、49x-23y=2と、49x-23y=-2があります。
やり方は変わりません。x=8、y=17を代入すれば49x-23y=1が成り立つとわけだから、x=16、y=34を代入すれば49x-23y=2が成り立つということになります。以下同様に解いてください。
x=-16、y=-34を代入すれば49x-23y=-2が成り立つということになります。これも以下同様に解いてください。

(3)セは、ユークリッドの互除法(『数ⅠA編』の7-7a+2をaで割ると2余るので、「aとa+2の最大公約数」は「aと2の最大公約数」と同じです。
ソですが、『数ⅠA編』の7-6で登場したように、a=3k,、3k-1、3k-2(kは自然数)と場合分けして考えれば、いずれの場合も3の倍数になるとわかります。しかし、3の倍数は3つごとに登場すわけなので、「連続した3つの整数には、3の倍数になるものが1つだけある。」という事実を使えばも楽です。a、a+1、a+2のいずれかひとつが必ず3の倍数になるということは、それらを掛けたのは常に3の倍数になります。また、少なくとも1つは2の倍数になるので、2の倍数になります。つまり、6の倍数です。

(4)タ~テは素因数分解(『数ⅠA編』の7-2)です。
その後ですが、b、b+1、b+2の中で7の倍数になるものは、無いか、1つだけあるかのどちからです。掛けて7の倍数になるということは、どれか1つが7つまり49の倍数でなければなりません。23の倍数になるものも、無いか、1つだけあるかのどちからで、掛けて23の倍数になるということは、どれか1つが23の倍数です。(まあ、問題文に結果書いてあるから、これらに気がつかなくても解けますけどね。)
「49の倍数と23の倍数で、かつ、その差の絶対値が1になるもの」で最小数の組み合わせは、(2)のク~コで、49×8=392と23×17=391と求めていますので、「b=391かつb+1=392」か「b+1=391かつb+2=392」です。
「49の倍数と23の倍数で、かつ、その差の絶対値が2になるもの」で最小数の組み合わせは、(2)のサ~スで、49×7=343と23×15=345と求めていますので、「b=343かつb+2=345」です。
これらの中で最小になるのは、b=343です。

第5問

ア、イは、内接円の半径(『数ⅠA編』の4-12)です。ウは、円外の点から円に引いた2本の接線の長さが等しい(『やさしい中学数学』中2の5-4のCHECK140、『数ⅠA編』の8-5)ということを使えばいい。エ~キは余弦定理(『数ⅠA編』の4-10)
ク~コはチェバの定理(『数ⅠA編』の8-7)で、ここで前半で登場した「円と辺BCの接点」と、Qが同じ点であることに気が付けば解けます。IQは内接円の半径なので、サ、シはア、イと同じ答えになります。
ス~ソは接弦定理(『数ⅠA編』の8-8です。


数ⅡB

第1問 

[1] (1)は説明するまでもないでしょう。
(2)(3)オ~スは、AsinΘ+BsinΘcosΘ+CcosΘの最大、最小(『数ⅡB編』の4-18)です。解く手順が決まっている定番のものですが、問題はご丁寧に誘導してくれています。セ、ソは角がΘで表されている式(『数ⅡB編』の4-4)です。

[2] タ~テは、対数方程式(『数ⅡB編』の5-20)、ト~ホは文字で置き換えると2次方程式になる指数方程式(『数ⅡB編』の5-11)。

第2問

(1)は、極大値、極小値から3次関数を求める問題(『数ⅡB編』の6-15)。

(2)ク~コは、接線(『数ⅡB編』の6-8)。サ、シはy=0を代入するだけなので大丈夫でしょう。ス、セは面積(『数ⅡB編』の7-10)。ソ、タは、足し算より、引き算の発想でやればよい(『数ⅡB編』の7-13)。

(3)共通接線(『数ⅡB編』の6-10)です。それぞれの接線を求めて同じものと考えればよい。①と②が同じものになるわけだが、そのまま比較すれば、k、a、bの3文字登場することになり、計算が非常に面倒になるので、もっと簡単に直したいです。
曲線C:y=f(x)と接線l:y=g(x)の共有点を調べてみましょう。連立させて、
f(x)=g(x)
f(x)-g(x)=0
-3bx+2b=0
ここで、曲線Cと接線l:y=g(x)はx=bで接しているので、連立させたり引いたりすると、x=bの重解をもつ。つまり、(x-b)を因数にもつとわかるので、これを利用すれば計算が楽(『数ⅡB編』の6-19)です。
x=bで接する他に、x=-2bで交わることもわかる。これが、点Aなので、a=-2bとわかる。
一方、①のほうはチ~テの結果を代入すれば、係数がaのみの式にできる。これで比較できて、ハ~ホが求められるわけです。

第3問

(1)アは、等比数列(『数ⅡB編』の8-5)、イは、階差数列(『数ⅡB編』の8-15)。

(2)エ~カは、等比数列の初項から第n項までの和(『数ⅡB編』の8-6)。キ~サは、階差数列(『数ⅡB編』の8-15)。その計算途中でΣの公式(『数ⅡB編』の8-11,8-12)を使う。ソ、タは、足し算より、引き算の発想でやればよい(『数ⅡB編』の7-13)。

(3)スは説明不要。
セ~タは、Tn+1を計算すれば、Tn+14・4/3-n-7/3になり、T/3-n-4/3比べると指数部分が4倍になっているので、「4Tに近い数ではないか?」と目安が付きます。実際、4T4・4/3-4n-16/3で、Tn+1はこれより、3n+3大きい数ということで式か出ます。
チ、ツは、ヒントのある漸化式(『数ⅡB編』の8-23)です。bn+1=で計算すれば、右辺の一部にbが現れて、漸化式が作れます。
数列{b}のほうは、(隣接)2項間の漸化式(『数ⅡB編』の8-25)です。これを解けばテ~ニが求まります。
一方、数列{T}のほうは、1次式のある2項間の漸化式(『数ⅡB編』の8-27)です。こちらも求められて、問題文の3行目の式に代入すればヌ~ヒの答えがわかります。

第4問

まず、問題文から底面になる四角形がAD//BCの等脚台形とわかります。(ただし、ADとBCのどちらが長いかは、この時点ではわかっていません。)位置ベクトル(『数ⅡB編』の9-26を記入して、問題を解いてゆきましょう。

(1)ア、イは、ベクトルのなす角(『数ⅡB編』の9-8のコツ20です。
ウ、エの三角形の面積は、『数ⅡB編』の9-10のコツ21の公式でも、『数ⅠA編』の4-12の公式でも、求められます。

(2)オ~クは、『数ⅡB編』の9-11の知識でいけます。
ケ~サも
、ベクトルのなす角(『数ⅡB編』の9-8のコツ20です。
まず、AD//BCなら、∠DAB+∠CBA=180°、∠ADC+∠BCD=180°が成り立つので、シ、スが求まり、この時点で、AD>BCとわかります。
そして、台形の補助線の引き方は2通りありました(『数ⅠA編』の0-10のコツ2)。どちらでも小、中学校の知識で解けます。

<垂線を下した場合>
B、Cから辺ADに下した垂線の足をそれぞれI、Jとする(『やさしい中学数学』中3の3-3例題6-6。∠BAI=60°であるから、AI:BI:AB=1:.(ルート3):2より(『やさしい中学数学』中3の3-3、AI=(ルート2)/2、AI=(ルート6)/2。同様にして、DJ=(ルート2)/2。
よって、AD=2(ルート2)より、セがわかり、これを変形すればソ、タが求まる。チ~テは、小学校の台形の公式。
<平行線を書いた場合>
Cを通り辺ABに平行な直線と、辺ADの交点をMとする。普通、四角形ABCMは平行四辺形になるのだが、今回は特別にひし形になっていて、AM=(ルート2)。一方、△CDMのほうは、CM=CD、かつ、∠DCM=60°より、正三角形とわかる。よって、AD=2(ルート2)より、セがわかり、これを変形すればソ、タ。さらに、2点B、Mをつなぐと、△ABM、△MBC、△MCDはすべて合同な正三角形になり、正三角形の面積がわかる(『やさしい中学数学』中3の3-3のp.738。台形ABCDの面積も求まり、これがチ~テ。

(3)ベクトルが平面に垂直ということは、平面上に1次独立な(零ベクトルでなく、平行でない)2つのベクトルを用意すると、そのどちらとも垂直になることは、数ⅡB編』のお役立ち話28で、
Hは、3点O、A、Cと同じ平面上にあるので、Hの位置ベクトルは、(1-s-t)("0ベクトル")+s("aベクトル")+t("cベクトル")つまり、s("aベクトル")+t("cベクトル")と表せることは、『数ⅡB編』の9-27のpoint104で扱っているので、
本でしっかり勉強した人は余裕だったでしょう。ただ、出題側は「知らないんじゃないか?」ということで、ここも、わざわざ書いてくれています。誘導通り計算すれば、ト~ヌがわかります。
さらに、成分がわかっていなくて、|m("aベクトル")+n("cベクトル")|の形が登場したわけなので、2乗して展開する(『数ⅡB編』の9-11を知っていたら、ネ~ヒが解けます。

(4)四角形ABCDの面積はチ、ツ、テで求めたし、△ABCの面積は、オ~サの結果を使えば、『数ⅡB編』の9-10のコツ21の公式でも、『数ⅠA編』の4-12の公式でも、求められます。これで、四角形ABCDの面積は、△ABCの面積の3倍ということがわかります。
(ちなみに、『やさしい中学数学』中2の5-9の知識を使っても解けます。Aの場所からスライドさせて辺ADの中点Mに持ってゆくと、△ABCと△MBCの面積は等しくなります。しかも、△ABM、△MBC、△MCDはすべて合同な正三角形になるので、四角形ABCDの面積は、△ABCの面積の3倍です。(2)を<平行線を書いた場合>で考えたひとは、もっと早く3倍とわかります。)
四角形ABCDや△ABCを底面と考えると、Oから下した垂線の長さつまり"高さ"が同じなので、立体の体積も3倍ということで、フがわかりました。
ヘ、ホも立体図形ではお馴染みの問題です。『数ⅠA編』の4-17の最後で扱っています。



数ⅠAは97点。(数ⅡBの10章を勉強した人は98点)
数ⅡBは、100点

2018年・センター試験

数ⅠA

第1問 

[1]昨年に引き続き、中学数学がわかってる人なら正解できた問題。(x+n)(n+5-x)=x(5-x)+nの二乗+5nの展開を見て、一瞬、えっ?と思うかもしれませんが、nはどんな整数でも成り立つのだから、n=1,2を代入して使えばいいだけ。

[2] (1)の(a)は部分集合(『数ⅠA編』の2-2)、(b)は空集合(『数ⅠA編』の2-1)、共通部分(『数ⅠA編』の2-3)の知識があれば、キは楽勝。クはちょっと面倒くさいけど普通に解けます。
(2)のpは
『数ⅠA編』の1-27sは『数ⅠA編』の1-29、1-27で簡単にできて、その後は、必要条件、十分条件(『数ⅠA編』の2-8)

[3] サ、シは、平方完成(『数ⅠA編』の3-2)、ス~トは、軸や範囲に文字がある2次関数の最大最小(『数ⅠA編』の3-10)。  

第2問

[1] ア、イは、余弦定理(『数ⅠA編』の4-10)、ウ~オは、三角比の相互関係(『数ⅠA編』の4-5)、カは普通に計算するだけ。ちなみに、ABsin∠ABCはAから辺BCに下した垂線の長さだが(『数ⅠA編』の4-1)、もし、AD//BCならDCより長くなるわけはないので、AB//CDのほうだとわかる。そして、∠DCA=180°-∠ABCとわかり、『数ⅠA編』の4-13のpoint37の公式を使えばcos∠DCAがわかるので、余弦定理(『数ⅠA編』の4-10で、ク~コが求められる。

[2](1)は『数ⅠA編』の5-1、5-2、5-3、(2)はそれに付け加えて『数ⅠA編』の5-6の知識がある人は、どのヒストグラムや散布図がどの箱ひげ図になるかがわかるし、問題も解けたはずです。
(3)は問題の指示通りやれば普通に解けますし、『数ⅠA編』のお役立ち話6のp.378でやったことを覚えていた人はさらにスムーズにできたのではないでしょうか。
そのときは平均がmで、mのないグループ、mの入っているグループ、mの2乗の入っているグループに分けて計算しました。
今回も同じです。平均がxバー(xの上に横棒が付いているもの)とyバーなので、xバーもyバーもないグループ、xバーの入っているグループ、yバーの入っているグループ、xバーもyバーも入っているグループに分けて計算します。

第3問

(1)は説明するまでもないでしょう。
(2)は、条件付き確率(『数ⅠA編』の6-29)です。
(3)も、ただ計算するだけ。今回は登場しませんでしたけど、AとBは独立であるといえます。(『数ⅠA編』の6-2)
(4)は、ス~タは普通に求めるだけ。その後の問題ですが、BとCが両方起こることはないので、
<あ>1回目にAとBの両方が起こり、2回目はAが起こらないでCが起こる。あるいは、その逆。
<い>1回目にAとCの両方が起こり、2回目はAが起こらないでBが起こる。あるいは、その逆。
の2つのケースしかありません。<あ>は前の問題で求めたもの×2です。よって、<い>を計算して足せば、チ~テの答えになります。

第4問

(1)ア~ウの素因数分解は、中学校でも習っているし、『数ⅠA編』の7-2でも紹介しています。エ、オは正の約数の個数(『数ⅠA編』の7-4)です。
(2)ax+by=c(a、b、cは整数)を満たす整数x、yを求めるという問題で、『数ⅠA編』の7-8で勉強しています
(3)は、144つまり"2の四乗"・"3の二乗"の倍数ということは、
"2のp乗"・"3のq乗"、"2のp乗"・"3のq乗"・"cのr乗"、"2のp乗"・"3のq乗"・"cのr乗"・"dのs乗"・・・などありそうです。(c、dは2、3ではない異なる素数)
再び、正の約数の個数(『数ⅠA編』の7-4)の知識の登場です。
"2のp乗"・"3のq乗"なら、正の約数の個数は、(p+1)(q+1)個で、これが18になる。
"2のp乗"・"3のq乗"・"cのr乗"なら、正の約数の個数は、(p+1)(q+1)(r+1)個で、これが18になる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というふうになり、計算は『数ⅠA編』の7-3のやり方で出来ます。

第5問

まず、三平方の定理で、BCが求まり、ア~ウは角の二等分線の比(『数ⅠA編』の4-14のpoint39)、エ~ケは方べきの定理(『数ⅠA編』の8-9)で求められます。
その後は、相似(『やさしい中学数学』中3の5-4)、三角形と平行線(『数ⅠA編』の8-2のpoint54)のどちらを使っても出来ます。もし、BE/BD=AB/BCなら、EDとACが平行になるはずですが、「BEのBDに対する割合」より、「ABのBCに対する割合」が上回るということは、EからDに向かって線を引いていけば直線ACに近づいていくと気が付きます。そのまま伸ばしてゆくと、直線ACとC側の延長線上で交わるとわかります。その後は、『やさしい中学数学』中1の5-14『数ⅠA編』の8-4でも説明した「内心」の意味が頭に入っていれば、タがわかります。


数ⅡB

第1問 

[1] (1)(2)は、『数ⅡB編』の4-1がわかっていれば、楽勝でしょう。
(3)キは説明不要。 クは、;加法定理(『数ⅡB編』の4-10)、ケ、コは、三角関数の合成(『数ⅡB編』の4-14)。そしてxを求めるのですが、角度がx-π/3なので、まずx-π/3の範囲を求め、その範囲を単位円になぞり、その範囲内でsinつまりy座標が1/2になる所を考えればよい。x-π/3がその角度になり、xが求まり、サ~セがわかります。

[2] まず、logの式なので真数条件(『数ⅡB編』の5-20)より、x>0とわかる。両辺の対数をとって『数ⅡB編』の5-18)、同じものが2つあるので問題の言うように置き換えて(『数ⅡB編』の5-21)、対数の計算(『数ⅡB編』の5-13)をすると、ソ、タが得られる。さらに、cの値を代入して、(累乗根(『数ⅡB編』の5-3)、対数の基本(『数ⅡB編』の5-12)、2次不等式(『数ⅠA編』の3-11)の知識があれば、)『数ⅡB編』の5-21の例題5の30のやり方でチ~ナが求められます。

第2問

[1](1)アは説明するまでもないでしょう。イ~オは接線の求め方(『数ⅡB編』の6-8)がわかっていれば解けます。
(2)面積の求め方(『数ⅡB編』の7-10)で普通に計算してもできます。ただ、カ~ケに関しては、『数ⅡB編』の7-13で紹介した、「放物線の直線はx=1で接しているので、連立させたり、引いたりすると、x=1を重解にもつ。つまり、"x-1の二乗"を因数にもつ。」の理屈を使えば研鑽が早いです。また、コに関しては、小学校で習った「台形の面積」でやったほうがはるかに楽です。その後は、x=2で極をもつということで、『数ⅡB編』の6-15の知識でサがわかり、3次式の因数分解(『数ⅡB編』の2-15)でシ~セがわかります。その後、『数ⅡB編』の6-14のp.487で紹介された「簡単なグラフ」の書き方を使えばソが出て、増減表(『数ⅡB編』の6-11)で最小値が求められます。

[2] 『数ⅡB編』の7-1で学ぶ「微分の逆が不定積分」がわかって入ればツは問題ないでしょう。テは面積の求め方(『数ⅡB編』の7-10)。その後、-F(t)+F(1)=2・"tの三乗"-2という式ができて、両辺を微分すればト~ヌが求まります。

第3問

(1)は、等差数列とその和(『数ⅡB編』の8-2、8-3)。(2)は、等比数列とその和(『数ⅡB編』の8-5、8-6)。
(3)は、問題の指示する通りやればセ~トが求まり、階差数列(『数ⅡB編』の8-15)の知識でナ~ネにたどり着けます。

第4問

(1)(2)位置ベクトル(『数ⅡB編』の9-12)を勉強していれば、アとウ~カができたはずです。頂点の一つから両側の2方向に伸ばすのが普通ですが、今回はFから3方向に伸ばすように指示されているので、それに従ってください。(頂点の一つから両側の2方向に伸ばすほうが楽に計算できるのは明らかです。でも、それならば簡単に求まりすぎてしまうため、わざと面倒なほうに誘導したのだと思います。)イは『数ⅡB編』の9-11です。今回は初めから2乗してくれています。
(3)(4)指示通りやるだけです。ひねりはありません。


今年は、数ⅠA、数ⅡBともに、「やさしい高校数学」のカバー率100%という昨年を上回る結果になりました。来年は、どうなるでしょうか・・・?

2017年・センター試験

数ⅠA

第1問 

[1] ほとんどの人が「全問正解した。」といった問題。展開、因数分解の公式(『やさしい中学数学』中3の1-4、『数ⅠA編』の1-4)でそのまま計算するだけ。

[2] 『数ⅠA編』の2-7、2-8の知識があれば難なく正解できます。

[3] セ~トは、平方完成(『数ⅠA編』の3-2)、ナ~ハは、2次関数の最大最小(『数ⅠA編』の3-6)。「置き換えをしたら残る文字の範囲を求める。」という鉄則は、『数ⅠA編』の3-7をはじめ、しつこく何回も登場しているので、今更いう必要もないでしょう。後半は、"t=aの二乗"と置いたので、tの範囲を求めることになる。実数の2乗は0以上なので、tは0以上です。   

第2問

[1] アは、余弦定理(『数ⅠA編』の4-10)、イ~オは、正弦定理(『数ⅠA編』の4-9)、カ~サは、三角形の面積の公式(『数ⅠA編』の4-12)、

[2] シ~セは、散布図(『数ⅠA編』の5-6)を知っていれば楽勝。

ソ~チは『数ⅡB編』の10-3で扱った、
「aD+bの分散」は、「Dの分散」のa倍、
「aD+bの標準偏差」は、「Dの標準偏差」の|a|倍、

(成り立つ理由は本に書いてあるので省略)を知っていた人はラッキーだったと思います。
Xの分散は、Dの分散の1.8の二乗倍、つまり、3.24倍。よって、ソは番号4。
"X-Xの平均"は、"D-Dの平均"Dの偏差の1.8倍。よって、当然、"(X-Xの平均)(y-yの平均)"も、"(D-Dの平均)(y-yの平均)"の1.8倍で、共分散は、それらの平均なのですから、「XとYの共分散」も、「DとYの共分散」の1.8倍ということで、タは番号3です。
「XとYの相関係数」は、「XとYの共分散」を「Xの標準偏差」と「Yの標準偏差」で割ったものです。一方、「DとYの相関係数」は、「DとYの共分散」を「Dの標準偏差」と「Yの標準偏差」で割ったものです。
「XとYの相関係数」は「DとYの相関係数」の1.8倍ですが、「XとYの共分散」も、「DとYの共分散」の1.8倍なので、結局、分子、分母ともに1.8倍することになるので、同じになります。よって、チは番号2となります。

(補足)もし、数Bをやっていない、やっているけど10章には目を通していないという意見の人もいると思います。でも、公式を知らなくても、数Ⅰの知識を使って時間をかけて計算すれば求められるという理屈は通るわけですから、数Ⅰのテストに出題されても、何も文句は言えません。数学の先生の中には、「公式なんて覚える必要がない。出てきたら証明すればいいんだ。」という無責任なことをいう人もいます。しかし、現実的に考えてください。60分という短い時間にそんな暇があるでしょうか?証明も計算も、数学の先生がやるのより何倍もかかるわけですよ。私としては、むしろ、上の2つに加えて、
「aD+bとYの共分散」は、「DとYの分散」のa倍、
「aD+bとYの相関係数」は、「DとYの相関係数」と同じ
も覚えて置くべきだと強く主張したいです。実際、同じような問題は2016年にも出題され、それを教訓に、事前に公式を頭に入れて試験に臨んだ人は、3問合わせて数秒で終わらせることができたようです。皆さんも、そうしてください。

ここは、「数Bの10章をやっていなくて、計算も苦手な人」に標準を定め、『やさしい高校数学』では、扱っていない問題のほうに入れます。

ツ、テはヒストグラムと箱ひげ図(『数ⅠA編』の5-3)。また、テで「四分位範囲」という言葉が登場しますが、この意味は『数ⅠA編』の5-2で説明しています。

第3問

ア、イは、余事象(『数ⅠA編』の4-10)の考え方で、それを使った類似の問題を『数ⅠA編』の6-23のp.463の例題6-25の(3)で扱っています。確率が1回ずつ変わるのですが、これも『数ⅠA編』の6-24で登場しています。

ウ~オは、まず、「排反」の意味は、『数ⅠA編』の6-23のp.466で説明しています。
当たりを引くのを〇、外れのを引くのを×で表すと、今回は、
A×、B〇、C〇
A〇、B×、C〇
A〇、B〇、C×
なので、それぞれ番号1、3、5になります。これは、ほとんどの受験生が正解したようです。

カ、キも、例えば、番号1になる確率は、『数ⅠA編』の6-24で登場した方法で解けば1/6と求められます。他の2つは、普通に求めてもいいのですが、「くじ引きは引く順番に有利不利はない。」という大原則を知っていれば、どれも1/6になるとわかります。
上の3つのケースは排反(どれか一つしか起こらない)なので、足すことになります。(『数ⅠA編』のお役立ち話7

ク、ケは条件付き確率(『数ⅠA編』の6-29)です。

コ~シは、3人とも当たる、3人とも外れることはないのは明らかです。
3人のうち2人だけが当たる、
A×、B〇、C〇
A〇、B×、C〇
A〇、B〇、C×
3人のうち1人だけが当たる、
A×、B×、C〇
A×、B〇、C×
A〇、B×、C×
の計6パターンしかなく、今回は、最後の一つ以外ということになります。一つ目、四つ目、五つ目はまとめて番号0でいいですし、二つ目は番号3、三つめは番号5になります。

ス、セも、『数ⅠA編』の6-24のやり方で求められます。番号0は確率1/2、番号3は1/6になります。番号5も普通に求めてもいいですが、カ、キの「くじ引きは引く順番に有利不利はない。」という原則で番号3と同じ1/6とみなせます。

ソ、タも、カ、キのときと同じ考え方です。「B、Cの少なくとも一方が当たりのくじを引く。」と、「A、Cの少なくとも一方が当たりのくじを引く。」は同じ確率になるに決まっています。

チも条件付き確率(『数ⅠA編』の6-29)です。普通に求めてもいいし、E2とE3に違いがないから、p2とp3は同じになるはずだと気づいた人はもっと素晴らしいです。

第4問

ア~サの「4の倍数」「9の倍数」は、『数ⅠA編』の7-1

シ~タは『数ⅠA編』の7-4のp.505の前半で説明しています。1188=2の二乗・3の三乗・11なので、
正の約数を作ろうとすると、"2"は「掛けない」「1回掛ける」「2回掛ける」の3通り、"3"は「掛けない」「1回掛ける」「2回掛ける」「3回掛ける」の4通り、"11"は「掛けない」「1回掛ける」の2通りから選べるため、3・4・2=24個できます。
そのうちで2の倍数になるものは、"2"は「1回掛ける」「2回掛ける」の2通り、"3"は同様に4通り、"11"は2通りなので、2・4・2=16個できるし、4の倍数になるものは、"2"は「2回掛ける」の1通り、"3"は4通り、"11"は2通りなので、1・4・2=8個できます。

チ、ツは、「4の倍数が8個あるわけなので、これらをすべて掛けると"2の十六乗"・奇数になるし、4の倍数でない2の倍数が8個あるから、これらをすべて掛けると"2の八乗"・奇数になる。よって、積は"2の二十四乗"・奇数になり、2進法に直せば、下24桁がすべて0になる。」と思いつく頭の回転のいい人もいるかもしれませんが、普通の人はそうではないので・・・これは、『やさしい高校数学』では、扱っていないとみなします。

第5問

ア~エは、方べきの定理(『数ⅠA編』の8-9)です。

その後は、相似な図形(『やさしい中学数学』中3の5-4)が2組あるので、それで求められます。中学校で習った計算ができる人は心配なく解けたと思います。
△CDEと△CBAにおいて、
∠DCE=∠BCA(共通)
∠CDE=∠CBA(円周角) (『数ⅠA編』の4-13のp.333
2角相等より、△CDE∽△CBA
CD:CB=DE:BA
4:8=DE:3
DE=3/2
△FADと△FEBにおいて、
∠AFD=∠EFB(共通)
∠FAD=∠FEB(円周角) 
2角相等より、△FAD∽△FEB

ここで、FA=x,FD=yとおくと、
FA:FE=AD:EB
x:(y+3/2)=3:9/2
9/2・x=3y+9/2
9x=6y+9
3x-2y=3
FD:FB=AD:EB
y:(x+3)=3:9/2
9/2・y=3x+9
9y=6x+18
-2x+3y=6
太字の2つの式を連立させれば、x=21/5が求まるので、ク~コがわかり、その結果、オ~キも求まります。

(補足)★の後は、以下のようにして解くこともできます。
△FEBの面積をSとおくと、
△FADと△FEBの相似比は、AD:EB=3:9/2=2:3より、
(△FADの面積):(△FEBの面積)=4:9      (相似比『やさしい中学数学』中3の5-9
(△FADの面積)=4s/9
(四角形ABEDの面積)=5s/9
次に、△BAEと△DAEを比較する。
∠ABE=Θとおくと、円周角より、∠ABE=180°-Θであり、
△BAEの面積は、1/2・3・9/2・sinΘ=27/4・sinΘ
△DAEの面積は、1/2・3・3/2・sin(180°-Θ)=9/4・sinΘより、
(△BAEの面積):(△DAEの面積)=3:1
(△BAEの面積)=5s/9・3/4=5s/12
(△DAEの面積)
=5s/9・1/4=5s/36
よって、(△FAEの面積)=(△FADの面積)+(△DAEの面積)=7s/12
△FEBと△FAEを比べるとき、BF、AFを底辺とみなすと、高さが同じであることから、
BF:AF=(△FEBの面積):(△FAEの面積)=s:(7s/12)=12:7。よって、BF/AF=12/7とわかります。
その後は、FA=xとおくと、x=21/5が出せます。
問題文でオ~キを先に求めさせているということは、おそらく、問題を作られた方は、受験生はこのように解答するだろうと想定したと思います。しかし、実際には、こちらのほうがはるかに面倒くさいので、私のような求め方でやるのがいいかと思います。

サ、シは、余弦定理(『数ⅠA編』の4-10)、ス~ソの内接円の半径は、『数ⅠA編』の4-12で登場しています。

タ~ツは、「内心」の意味は、『やさしい中学数学』中1の5-14『数ⅠA編』の8-4でも説明しています。後は『数ⅠA編』の4-14の内容で行けます。∠Bの二等分線上にIがあり、直線BIと辺ACの交点をJとすると、p.340のやり方でAJ、CJの長さがわかるし、p.341のやり方でBJの長さがわかります。また、Iは∠Aの二等分線上にもあるわけなので、BIとIJの比もわかり、BIの長さがわかります。


数ⅡB

第1問 

[1] ア~エは2倍角の公式(『数ⅡB編』の4-12)。

オは二乗するだけ。

カ~ケは、;連立させて解いてもいいし、解の和と積がわかっているから、元の式が作り、それを解いてもいい。(『数ⅡB編』の2-9)

コ~ソは、まず、二乗から一乗を求めると、cosα、cosβともに正、負の2つずつ出るが、積が負であることから、お互いに異符号だとわかるし、0≦α≦π、0≦β≦π、α<βより、単位円を描いてみると、cosα>cosβとわかる。(『数ⅠA編』の4-2

[2] 対数関数のグラフは『数ⅡB編』の5-16で紹介したから、大丈夫でしょう。

タは、真数条件(『数ⅡB編』の5-12)。

チ~ナは、内分点の公式(『数ⅡB編』の3-2)です。

二~ネは、対数方程式(『数ⅡB編』の5-20)。

ノ~フは連立するだけ。

ヘは、底を10に変えて計算するだけです。(『数ⅡB編』の5-14

第2問

ア~セは、接線の本数(『数ⅡB編』の6-21)という有名な問題です。

ソ、タは、2次不等式(『数ⅠA編』の3-11)。

チ~テは、小学校で習った底辺×高さ×1/2で面積を求めるだけ。

ト~ネは、増減表を使えば3次関数の最大最小が求められます。(『数ⅡB編』の6-16

ノ~フは、普通に積分で面積を求めることもできます。(『数ⅡB編』の7-10)しかし、もっと言えば、『数ⅡB編』の6-19、7-13で説明しましたが、グラフどうしがx=2a-1で接しているので、連立させたり、引いたりすると、x=2a-1を重解にもつ、つまり、x-(2a-1)を因数に持つといえます。これに気が付いた人は計算が圧倒的に楽だったでしょう。

へは、微分すれば負になることから、減少とわかります。

第3問

ア、イは、等比数列(『数ⅡB編』の8-5)。

ウ~キは、ただ計算するだけ。

ク、ケは、判別式(『数ⅠA編』の1-20)。

コ~シも、計算するだけ。

ス、セも、対数の基本(『数ⅡB編』の5-13)の計算なので、楽勝でしょう。

ソ~タは、『数ⅡB編』の8-20で勉強しています。

第4問

ア、イは∠AOB=60°がわかれば、中三の知識で解けます。

ウは、説明するまでもないでしょう。

エ~ツは、A、B、C、D、E、F、Mすべての座標がわかるわけですから、ベクトルの成分(『数ⅡB編』の9-2)もわかります。(Nの点は何対何に外分しているかわからくて、もし、ノーヒントなら、『一方にsを掛けて、他方に1-sを掛けて・・・』(『数ⅡB編』の9-13、9-14)のやり方でやればいいのですが、)今回が問題の方が指示してくれているので、それに従って計算すれば自動的に求められます。

テ~ナは、説明不要。

ニ~ハですが、まず、Hのy座標はaとわかっているので、座標を(t,a)とかおけて、"ベクトルCH"もわかります。そして、"ベクトルEP"と"ベクトルCH"は垂直なので、内積が0(『数ⅡB編』の9-9)ということで、tが求まります。

ヒ~ヘは、ベクトルのなす角(『数ⅠA編』の9-8)です。


数ⅠAは、第4問を選択した人は91点、選択しなかった人は94点。(数ⅡBの10章を勉強した人は、それぞれ97点、100点)
数ⅡBは、100点

ということになります。ただし、今回のセンター試験が例年と比べ易しかったため、このような結果になったわけで、詳しくは分析していませんが、通常なら80~90点でしょう。もともと、この本を作る際に、そのくらいのカバー率になることを考慮してしたので、ほぼ想定通りといえます。

ただ、ここで注意して欲しいのは、80~90点をカバーしているといっても、実際のテストでその点が取れるわけではないことです。計算ミスもするでしょうし、何よりセンター試験は問題の量に比べて与えられている時間が短いため、すべての問題に目を通す前に終わってしまうかもしれません。限られた時間内で効率よく点を稼いでいく技術は実戦でしか身につきません。私の本はあくまで「技術指導」で、それのみでなく、「練習試合」といえる模擬テストを数多くこなすことで身に着けることができますので、是非そうして、60分の体内時計を作り上げてください。

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